2009年3月 2日 (月)

北アイルランドって…

知っているようでわかりにくいのが、北アイルランド、イギリス、アイルランドの関係。

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いわゆるイギリス(英国)は実は、「グ レートブリテンおよび北アイルランド連合王国」が正式名称。地図で見ると、アイルランド島の右上部分(北東部)の「北アイルランド」は、イングランド、ス コットランド、ウェールズと共に<英国>に属するのです。アイルランド島の残りの部分は<アイルランド共和国>です。

「シュート・ザ・クロウ」の作家のマカファーティーは、ベルファスト在住。ベルファストは北アイルランドの中心都市で、人口25万人ほどの町です。実は世界最大の造船ドックもあり、あの“悲劇の貴婦人”タイタニック号が建造されたのもベルファスト。産業革命期に工業都市として大発展し、世界に開かれていた、歴史ある都市です。

アイルランドは「エメラルドの島」と呼ばれるほど緑がいっぱいの島ですが、実はベルファストは、イギリス・ヴィクトリア朝の栄華を今に伝える重要な産業都市なのです。

 

地理的にも複雑ですが、歴史上密接な関係にあったイギリスとアイルランドの関係は、政治的にも文化的にも、とても複雑。北アイルランドといえば1960年代~90年頃のIRA、テロ、といった記憶が濃い地域でもあります。しかしヨーロッパと関わりつつ、独自のアイルランド文化を育んできた土壌は、アイルランドも北アイルランドも共通です。

この「豆ちしき」では、北アイルランドも含めたアイルランドの“お国柄”を紹介する意味で、アイルランドという言葉を使っていきます。


地図を見てみよう!↓

http://maps.google.com/maps?q=United+Kingdom&hl=ja


アイルランド政府観光庁のサイト:ベルファストの情報も載っています!
http://www.discoverireland.jp/fact_ireland/index.html

アイルランドは、文学の島だった!

アイルランドといえば、最近は特に、大ブームになったアイリッシュ・ミュージック、「リバーダンス」のアイリッシュ・ダンスなどなど、ケルト文化のイメージが強まっています。でも実は、古くからキリスト教の信仰に厚く、修道院を中心に学問が盛んだったアイルランドは、ヨーロッパでも最古の文学の歴史を誇っています。とりわけイギリスの影響が強かった1819世紀には、アイルランドは多くの文学者を輩出しました。

「ガリバー旅行記」のジョナサン・スイフト、「サロメ」のオスカー・ワイルド、それに「マイ・フェア・レディ」の原作も書いた劇作家ジョージ・バーナード・ショー、「ユリシーズ」のジェイムス・ジョイス、「ゴドーを待ちながら」のサミュエル・ベケット。なんと全員、アイルランド出身。近現代のヨーロッパを代表する多くの文学者が、アイルランドで学び、ロンドンやパリで活躍したのです。アイルランドは北海道ほどの面積の島ですが、ノーベル文学賞受賞者を4人も出しているといいますから、驚きの文学大国です。

ちなみに、近年ディズニーでも映画化された「ナルニア国物語」の作者C..ルイスは、ベルファスト出身。ベルファストでは、ルイスゆかりの地を訪ねる「C..ルイスツアー」も開催されています。ベルファストの図書館には「ルイスのワードローブ」があるとか…もちろん、扉を開けるとナルニア国への入口となっていた、あの洋服ダンスのことです!

そして演劇の国だった!!

「文学の島」アイルランドは「演劇の国」とも言われるほど、演劇が盛ん。アイルランドのナショナル・シアターのダブリンの「アビー劇場」や、同じくダブリンの「ゲイエティ劇場」、「オリンピア劇場」、ベルファストの「リリック劇場」をはじめ、小さな町までたくさんの劇場がある、劇場王国です。名作から現代劇作家の新作、ミュージカル、バレエ、オペラと、様々な作品が、あちこちで常時上演されています。「シュート・ザ・クロウ」が初演されたのは、アイルランド島西部、大西洋岸にある町ゴールウェイのドルイド・シアターです。

アイルランドといえば、各地の演劇祭も名物。夏にはゴールウェイ・アート・フェスティバルやキルケニー・アート・フェスティバル、秋にはダブリン・シアター・フェスティバルやベルファスト・フェスティバル・アット・クイーンズといった、国際的な演劇祭が次々と開催されます。

アイルランドの長い夜は、気のおけない家族や友人と劇場で舞台を楽しんで、パブに寄り道して興奮を分かち合う。そんな文化から、「シュート・ザ・クロウ」は誕生しました。


ゴールウェイ・アート・フェスティバル(7月中ー下旬)

コンサートや演劇、著名な作家による朗読会、展示会、パレードなどが行われる華やかなイベント

http://www.galwayartsfestival.ie

キルケニー・アート・フェスティバル(8月上-中旬)

中世の町並みで知られるキルケニーの芸術祭。音楽、演劇、ダンスなどを内外のアーティストで。

http://www.kilkennyarts.ie

ダブリン・シアター・フェスティバル(9月下旬-10月上旬)

ダブリンの劇場を中心に、内外の新作をはじめとする演目を多数上演。国産戯曲のストレートプレイが盛んなアイルランドらしい舞台も充実。

http://www.dublintheatrefestival.com

ベルファスト・フェスティバル・アット・クイーンズ(10月下旬-11月中旬)

北アイルランド最大の芸術祭。演劇、ダンス、ビジュアルアート、コンサートなどが市内いたるところで繰り広げられる。

http://belfastfestival.com

Img_4409 ダブリン、オリンピア劇場の外観




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ダブリン、アビー劇場の公演案内











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昨年のベルファストフェスティバルでは、マカファーティーが構成台本・演出を手がけた新版「アンティゴネ」も上演されました!

アイルランドといえば、パブ!

アイルランドの人々の生活に、とにかく欠かせないのがパブ。ダブリンには800軒以上あるというし、どんなに小さな村にも必ずパブがあります。長距離バスの村のバス停がパブの前にある、なんていうのも、パブが暮らしの中心にある証です。

今や日本にも、「アイリッシュ・パブ」や「イングリッシュ・パブ」と謳う店がたくさんあります。ぬくもりのある木の重厚な内装で、カウンターで代金と引き換えに飲み物を買って(キャッシュ・オン・デリバリー)立ち飲みする…そんなスタイルが定番ですね。

アイルランドにおいては、さらに、①町の人々が集まって、②飲みながら、③おしゃべりをする、④さらに、地元のミュージシャンの音楽(とりわけ、アイルランド伝統の楽器のアンサンブルによるセッションは印象的!)を楽しむ、という、アイリッシュ文化そのものが繰り広げられる「場」になっているといえます。

大都市にある、ジョージア朝様式やヴィクトリア朝様式の豪奢なパブから、最先端のトレンドを取り入れた洗練されたパブ、それに小さな町で薬屋さんや雑貨屋さんを兼ねていた、ペンキ塗りの外観のちょっとしたパブ…。店構えも雰囲気もそれぞれ個性的ですから、アイルランドに行ったら、パブめぐりはぜひ試してみたいものです!


Img_4516_2 ダブリンの名所、テンプル・バー。

周辺は最新スタイルまでたくさんのパブが集まっている、一大文化発信基地。




Img_4797 こちらは中世の色濃い町、キルケニーの街かどのパブ。

壁の装飾は、ギネスの古いイラスト。


 

パブといえば、やっぱりビール

アイルランドのパブで飲まれるのは、1にビール、2にビール…もちろんビールが大人気ですが、ウィスキーやサイダー(シードル)、もちろんソフトドリンクも飲まれています。

そしてアイルランドを代表するビールといえば、ダブリン発祥の「ギネスGuinness」。スタウトといわれる、きめ細かい泡と独特の苦味を特徴とする黒ビールです。スタウトには、「マーフィーズMurphy’s」などもあります。ほかに、イギリスでよく飲まれるエールというタイプでは「キルケニーKilkenny」などが人気。アイリッシュ・エールは褐色が特徴で、レッド・エールとも呼ばれるそうです。日本で普通に飲まれているタイプのビールはラガーと呼ばれ、最近は若い人を中心に飲まれているそうです。

日本でも最近は、ギネスやマーフィーズは、ドラフト缶がスーパーでも流通しています。もちろん小瓶もありますが、ドラフト缶は、缶に炭酸発泡剤が付いていて、スタウト独特の泡を作ってしまうという優れモノです。

ちなみに、ギネスのシンボルマークは、アイルランドの伝統楽器、アイリッシュ・ハープ。やっぱりビールと音楽は切っても切れない、パブ文化のシンボルですね。



Img_4479 ダブリンにある「ギネス」の聖地「ギネス・ストア・ハウス」の最上階では、ギネス片手にダブリンの町を360度一望できる

ここで醸造されるのは毎日4億パイント ヨーロッパ最大の醸造所

ウィスキーの元祖、アイリッシュ・ウィスキー

お隣のスコットランド(スコッチ)に比べると、アイリッシュ・ウィスキーの知名度は低い…ところが、実はアイルランドこそウィスキー発祥の地。ゲール語(アイルランド語)の「ウシュク・ベーハ(=命の水)」が、「ウィスキー」という言葉の語源なのだそうです。

その歴史は古く、紀元6世紀頃にアイルランドの修道士が作り始め、1170年頃、イギリス人がアイルランドに侵入した際にウィスキーと出会い、あっという間にイギリス各地に広まったそうです。その後19世紀まで、世界で「ウィスキー」といえば「アイリッシュ・ウィスキー」だったのが、アメリカの禁酒法と、アイルランドのイギリスからの独立の混乱期に、アイリッシュ・ウィスキーは世界市場で勢いを失ったようです。

アイリッシュ・ウィスキーの代表的な銘柄は、ジェイムソン、ブッシュミルズ、パディなどなど。実はお隣のスコッチとは根本的に製造方法が違っていて、①モルティングの段階で麦芽を自然乾燥させるので、スコッチのようなスモーク臭はなく、②蒸留を3回行う(スコッチは2回)ので繊細な味わいになる、のだそうです。

北アイルランドには、世界最古のウィスキー蒸留所「オールド・ブッシュミルズ蒸留所」もあります。創業は1608年。北アイルランドのそのまた最北端に近い地ですが、世界中からの見学者が絶えないといいます。もちろん、テイスティング用のバー付き。南部のミドルトンにあるジェイムソン・ヘリテッジ・センターは、歴史的な施設を改修、昔の雰囲気を残した場になっています。もちろんここでも心行くまでテイスティングができるそうですよ。

2009年3月 4日 (水)

アイリッシュ・コーヒー

アイリッシュ・ウィスキーを試すには、「アイリッシュ・コーヒー」もおすすめです。
アイリッシュ・コーヒーは、アイリッシューウィスキーに濃い目のコーヒーと砂糖を加えて、固めにホイップした生クリームを載せたもの。
体が温まるので、寒い日には特におすすめですが、これが結構アルコール度が高いらしいので、要注意です。
アイルランドではパブでも出される、メジャーな飲み方のようです。

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3月は、セント・パトリックス・デー!

3月17日は、アイルランド(北アイルランドも)の祝日、セント・パトリックス・デー(聖パトリックの日)。
アイルランドの守護聖人、聖パトリックを讃える祝日です。
ダブリン、ベルファストなどアイルランド各地で盛大なパレードが行われ、教会に行くなどして祝われます。アイルランドではクリスマスに次ぐ休日なのだそうです。

アメリカをはじめ世界各地にアイルランド系移民は多く(「アイリッシュ・パブ」の隆盛もその影響があるのですが)、ニューヨークなど、多くの都市でセント・パトリックス・デーのパレードが催されています。
この時期、東京ではアイルランド政府観光庁主催の「アイルランドフェスティバル」が開かれます。表参道ヒルズでのアイリッシュ・ミュージックやダンスのパフォーマンスなど、盛りだくさんのイベントです。
そして一番盛り上がるのが、東京で行われる、アジア最大の「セント・パトリックス・デー」のパレード。今年は3月15日(日)、原宿・表参道で。
セント・パトリックス・デー・パレードは、早いところでは今週末から、熊本、京都、名古屋、横浜など、各地で行われます。
緑色のものを身につけて、アイルランド気分で参加しちゃいましょう!
この時期、全国各地のアイリッシュ・パブでも、お得にアイルランド気分に浸れるイベントがあるようですよ。

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 アイルランド・フェスティバルのフライヤーです






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2009年3月 6日 (金)

アイリッシュ・コーヒーの続き

既にご紹介したアイリッシュ・コーヒー、実は歴史は意外と浅く、1942年誕生とされています。
当時、アイルランドはアメリカ~ヨーロッパの間の飛行機の中継地点。旅の途中、体を温めて元気になれる飲み物、と、空港のスタッフ ジョー・ジェリダン氏が考案。
大好評で世界に広まったということですから、さすが世界に開かれたアイルランドです。

アイルランドのグリーン

セント・パトリックス・パレードには、緑色のものを身につけましょう!

Photo_2 緑はアイルランドのシンボルカラーです。

特によく目にする、このクローバーのような葉。これはアイルランドでは「シャムロック」といい、アイルランドの国花です。

紀元5世紀頃、アイルランドにキリスト教を広めた聖パトリックが布教に使ったのがこの「シャムロック」。三つ葉を「三位一体」にたとえて説明したそうです。

Img_4587 それだけでなく、聖パトリックは、アイルランド土着のケルト文化を巧みに取り入れて、キリスト教を説きました。今でもアイルランド各地で、「ハイクロス」と呼ばれる、アイルランド独特の巨大十字架が見られます。ハイクロスも、セント・パトリックス・パレードでよく使われるモチーフですよ。

日本では桜が春を告げますが、アイルランドでは、3月17日のセント・パトリックス・デーを彩るグリーンのシャムロックが春を告げる、ということになります。今年も桜の開花情報が出ましたが、アイリッシュの間でも、春を待ちわびて3月17日を楽しみにしている人たちが沢山いることでしょう。
今年のセント・パトリックス・デーは、ちょっと気をつけてテレビを観ていると、アイルランド、それに全世界でアイリッシュの祝うグリーンの祝祭が紹介されているかもしれませんね。

2009年3月 9日 (月)

ここでもセントパトリックスデー!

Img_3220b こちらは新国立劇場のお隣、東京オペラシティにある「HUB」さんです。
ここでもセント・パトリックス・デーの飾り付けが! 「HUB」は「イングリッシュ・パブ」なのですが、細かいことは気にせず、楽しんじゃいましょう、ということでしょうか。
もちろんこちらの「HUB」でも、 ギネスビールを味わえますよ。

新国立劇場の稽古場では、「シュート・ザ・クロウ」の稽古が始まりました。
7日(土)には、北アイルランド通の方が稽古場にいらして、ていねいに本読みをしながら、北アイルランドならではの習慣や言い回し、ジェスチャーの解説をしていただきました。
(この方は、昨年「北アイルランド映画祭」を仕掛けた方なのです。)
本読みに、タイル貼りの特訓に、稽古場は毎日大忙しです。

紅茶の話

知っていますか? アイルランドは、紅茶の消費量世界一なんですよ。
紅茶会社の調査では、一人平均、1日6杯程度飲む計算とか。一人あたりの茶葉の消費量、年間3kg以上になるそうですよ。

紅茶といえば英国のアフタヌーンティーのイメージですが、18世紀ごろにはアイルランド各地に紅茶文化が伝わっていたそうです。
特に産業革命期には労働者階級まで紅茶が普及したとかで、アイルランドの人も、英国同様、みんな紅茶を飲みます。最近までコンビニもそう見られず、自動販売機で缶コーヒーなんて習慣のないアイルランドでは、みんな紅茶を自分で用意します。
職場ではどこでも、出勤したら紅茶、午前の休憩に紅茶、お昼に紅茶、午後の休憩に紅茶、仕事のしめくくりの一服に紅茶。

そしてもちろん、エコブームなんてものが始まるずっと前から、アイルランドの働く男は「マイカップ」です。一日中マグカップでぐいぐい飲むんですから、そりゃマイカップが一番身近にあるわけです。
働く男にとって、マイカップがいかに大切か…
続きはお芝居で!

2009年3月16日 (月)

タイルの話

「シュート・ザ・クロウ」は、タイル職人、男4人の一日の物語。
“俺たち タイルを貼るしか 能がない”職人さんたちになりきるために、稽古場では俳優さんたちが、タイル貼りの猛特訓中です。なにせタイルに夢中になっているとお芝居がおろそかになっちゃうわけで、お芝居に集中するためには、目をつぶっててもできるくらい、タイル貼りをマスターしないといけないわけです。

稽古場には連日、タイル職人の方が指導に見えています。
それに加え、先週は、タイル文化博士の「世界のタイル博物館」館長の方がいらっしゃいました。
Photo_2 世界のタイル博物館は、焼物の町・愛知県常滑市にある博物館。その名のとおり、世界各地で収集された“宝石”のように貴重なタイルが、常に1000枚も展示されています。
ホームページでも、タイルの画像がふんだんに見られますよ。たくさんありますので、中毒注意です。
http://www.inax.co.jp/museum/permanent/uk/list.html

日本にはタイル文化はあまりありませんが、西洋諸国ではとてもポピュラーです。
館長さんの説明では、タイルはそもそもエジプト、オリエント発祥ですが、ヨーロッパでタイルといえば、イスラム伝来のスペイン、青一色のデルフト焼きで有名なオランダ、そしてイギリスのヴィクトリアン・タイル、この3つがメジャーなのだそうです。
ヴィクトリアン・タイルは、その名のとおり、ヴィクトリア朝期の英国の、一大建築ブームで隆盛を極めたタイル文化。産業革命によって大量生産が可能になっていましたし、英国ではちょうど、大量生産を批判した、ウィリアム・モリスやウィリアム・ド・モーガン達のアーツ・アンド・クラフツ運動も起こっていて、素敵な装飾のタイルがどんどん焼かれていました。
今では食器メーカーとして有名なミントン、ウェッジウッド、ドルトンといったメーカーも、こぞってタイルを焼いていました。アーツ・アンド・クラフツ運動に携わったデザイナー達もタイルのデザインを多く手がけ、また、アール・ヌーボーやアール・デコのデザインによるタイルも次々に生産されていました。

ベルファストは、既にご紹介したように、英国ヴィクトリア朝時代に発展した産業都市。当然、当時の建物には英国で焼かれたタイルが使われています。この当時の英国の窯は、マンチェスターの近くのストーク・オン・トレントに多くあり、産業革命期には、多くのアイルランド人が労働者としてこの地域に渡っていました。このため、マンチェスター近辺には、アイリッシュ・パブがたくさんあるそうですよ。
英国でアイリッシュ・パブなんて、日本の私達から見ればヘンな感じもしますが、差別も根強かった当時、アイリッシュたちが安心して集えるパブが、やはり必要だったのでしょう。

さてミントンのタイルといえば、いまやアンティークとしても大人気です。そのタイルは、ロンドンのウェスト・ミンスター寺院、国会議事堂のほか、アメリカ・ワシントンの国会議事堂など、当時の世界の有名建築で使われた、超高級品でした。
このタイルが贅沢にも個人邸宅に使用された場所が、なんと日本にあるんですよ。それは、上野の旧岩崎邸。ジョサイア・コンドルの手がけた洋館が修復され、近年一般公開されるようになったのですが、実はその、ベランダに敷き詰められたタイルや暖炉のタイルが、ミントンのタイルだということが、修復の過程で判明したのです。
ロンドンに行けば、ヴィクトリアン・タイルの部屋を博物館などでも見ることができますが、英国まで行くことのできない人もだいじょうぶ。岩崎邸で、タイル文化の粋をのぞいてしまいましょう。

旧岩崎邸庭園は、都立公園として利用されています。

http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index035.html

2009年3月17日 (火)

タイルの話 おまけ

ベルファストのタイルの歴史がわかったところで、タイル文化がどんなに身近か、お見せしましょう。

Img_4813b こちらは、アイルランドの中世の街キルケニーの街かどの、タイルショップ。
タイルを選んで購入して貼る、ということが、普通なんですね。

Img_5076b そしてベルファストでは…街かどでタイル職人さんのバンを発見。もしやマカファーティー…と思いきや、ちょっと違いましたが、実は、「シュート・ザ・クロウ」の作家マカファーティーは、劇作家になる前、タイル職人をしていたんですよ。

2009年3月19日 (木)

セント・パトリックス・デー

Img_9770 皆さま、今週のセント・パトリックス・デーは、いかがお過ごしでしたか?
稽古場でも、ささやかな乾杯を行いましたよ。

Pm1010363_2 アイルランドを代表するビール、スタウトの“ギネス”、それに、アイリッシュ・エールの“キルケニー”。

春はすぐそこです!

アイルランドの食べ物といえば…

イギリスのさらに最果てのアイルランド、さぞかし貧しい食文化の島だと思っていませんか?
実はアイルランドは、酪農と畜産の島。かつて大英帝国に支配されていた時代には、各大陸のイギリス領へ農産物を送る、重要な食糧工場として機能していたんですよ。今でも、アイルランドの風景といえば、緑豊かな丘でのんびりと草を食む羊たちの、のどかな風景が印象的です。

Photo そんなアイルランドの主要な食材といえば、やはり、じゃがいも、それにラム。
この、じゃがいもとラムを主体に煮込んだ料理が、アイルランド名物「アイリッシュ・シチュー」です。
日本の肉じゃがのように、アイリッシュ・シチューも、各家庭の“母の味”。いろいろなレシピがある、とてもポピュラーなメニューです。
「シュート・ザ・クロウ」の中にも、「ランチのシチューがなくなっちゃう」なんて会話が出てきますよ。
ほかにも、牛肉をギネスビールで煮込んだビーフ&ギネス、塊ベーコンとキャベツを煮込んだベーコン&キャベツなどなど、アイルランドならではの畑の恵をたっぷり煮込んだシンプルなメニューが、いろいろありますよ。

アイルランドの海の幸といえば…

北の島、アイルランドは、もちろん海の幸の宝庫でもあります。
とりわけポピュラーなのはサーモン、カキ。
特に、季節の味、カキの時期には、アイルランド各地でオイスターフェスティバルが開かれます。
最大のフェスティバルは、ゴールウェイ国際オイスターフェスティバル。ホテルやレストランがカキ尽くしになるのはもちろん、パレードやら美人コンテスト、そしてカキの殻開けチャンピオン大会やら、様々なイベントで盛り上がります。
今年は9月24日~27日の4日間。カキ好きにはたまりません!
http://www.galwayoysterfest.com/

2009年4月 3日 (金)

肉食です

牧畜がさかんなアイルランドは、おおざっぱに言って、肉食です。アイリッシュ・シチューをはじめ、羊などの肉を煮込んだ料理が、数多くあります。

お隣の英国が、どちらかというと草食系で、最近ではベジタリアンの割合も非常に多く、動物愛護運動も非常に根強いというのと、対照的です。

Img_5060mini 写真は、その名も「アイリッシュ・ブレックファスト」。アイルランドでは、どんなに素朴なB&Bでも、このくらいの朝食は当たり前。基本的に、朝からボリュームたっぷりのフルブレックファストです。

その構成は、ベーコン、ソーセージ、卵(目玉焼きなど)、マッシュルーム、ベイクド・トマト(ソテーしたもの)、フライドポテト、ブラックプディングにホワイトプディング。

ブラック&ホワイトプディングは、アイルランドの朝食に欠かせないもの。プディングといっても、プリンじゃありません。ブラックプティングは、豚の血とオートミールを腸詰めにして作るソーセージ。ホワイトプティングは、ポークに穀物を混ぜたソーセージ。…肉食ですね。

これにジュース、シリアル、果物、ヨーグルト、ポリッジ(オートミール)、ソーダブレッドが付いて、朝食の完成です。

朝からウィスキーを楽しみたい方は、北部のアルスター地方風に、ポリッジにアイリッシュウィスキーと砂糖をかけてください。温まりますよ。

パブでは、ラウンドで

アイリッシュ・パブは、キャッシュオンデリバリー、つまり、カウンターでお金と引き換えに飲み物を買って、それを持って飲むシステムと、説明しました。

さらにアイリッシュ気分でパブを楽しむ方法をご紹介しましょう。

アイリッシュは、パブでグループで飲むときは、ラウンドで飲みます。簡単にいうと、おごりあうのです。

4人グループで飲みに行ったら、1人目が4人分を買います。1ラウンド目です。このラウンドが終わりそうになってくると、2人目が、また4人分買います。次いで3人目が4人分。そして4人目。1回に1パイント(1イギリスパイントは、580ミリリットル)飲むので、4人がひととおりおごりあうだけで2リットル以上です。これでまた1人目が次のラウンドを始めたら…。

彼らの間では、グラスが空いてるなんてことはあり得ません。ビールがグラスの残り半分を切ったら、もう次のラウンドに移ります。

これが、アイリッシュの男たちの友達づきあい。酔っぱらってしまうのも無理ありません。

2009年4月 9日 (木)

FRIDAY PUB オープン!!

ビッグニュース!!

「シュート・ザ・クロウ」の公演中、毎週金曜日の終演後は、劇場が「FRIDAY PUB」に大変身! 一週間の仕事を終えたら、いいお芝居を見て、ギネスビールで一息ついちゃいましょう。

FRIDAY PUBは、チケットを持っていない人も大歓迎。週末は、いつもと気分を変えて、劇場でちょっと一杯、なんていかがですか?

Img_0992d 営業は、毎週金曜、20:45-21:30。京王新線初台駅すぐの新国立劇場・小劇場ホワイエ周辺にて。写真は仮設営のもの。本番はびっくりするほどムーディーですよ。

アイルランドでも英国でも、劇場にはちょっとしたパブがついているのが当たり前。「シュート・ザ・クロウ」の後は、パブも一緒に楽しんで、アイリッシュ気分を満喫してください。春爛漫の劇場前は、サイコーに贅沢な、気持ちいい場所ですよ!

そして、パブ文化を中心にアイリッシュ気分を盛り上げてきた「豆ちしき」から、最大の「豆ちしき」。

実は“Shoot the Crow”というのは、「さっさと飲みに行こうぜ!」なんて意味の会話表現なんです。「シュート・ザ・クロウ」は、「こんなつまんない仕事さっさと片付けて、早く一杯行きてえなあ~」と思ってうだうだ言いながら毎日タイルを貼り続ける、働く男の一日の物語。仕事、友情、大切な家族…すべての働く人たちへ向けた応援歌です。

それでは、「シュート・ザ・クロウ」で、そして、FRIDAY PUBでお会いしましょう! 

Shoot the Crow! 

2009年4月12日 (日)

タイルプレゼント中です

Tilepresent 「シュート・ザ・クロウ」公演会場では、毎日、ご観劇のお客様10名様に、公演で使用したタイルに出演者4人のサインを入れて、プレゼント中!

タイルをもらってもなあ…とお感じの方、ラッキーにも当選したら、大事に持って帰って、額装してみてはいかがですか?

額装というと大げさですが、ポストカードをフォトフレームにいれるように、ちょっとしたフレームに台紙を入れて、タイルを入れるだけでOK。ヨーロッパでも、アンティークのタイルや、思い出のタイルをフレームに入れてちょっと飾るのは、とてもポピュラーだそうですよ。タイルの独特の質感が、いい感じのポイントになりますよ。

Img_3517 会場では、世界のタイル博物館所蔵の「ヨーロッパのタイル」展も開催中です。アンティークの素晴らしい貴重なタイルが飾ってありますから、こちらも必見で、お楽しみください。

2009年4月21日 (火)

カフェスタイルです

「シュート・ザ・クロウ」公演中の劇場は、通称「カフェスタイル」でお客様をお迎えしています。

Dsc_0003 カフェスタイルと呼んでいるのは、いつもは閉めている劇場のガラスを開けて、外から直接、劇場ロビーに入れるようにレイアウトした、オープンエアのカフェのようなスタイルです。もぎりを内側に引っ込めているので、チケットをお持ちでない方も、ロビーやビュッフェを利用できます。

「シュート・ザ・クロウ」公演中は、フライデー・パブ以外の時間のビュッフェでも、ギネスビールをご用意してお待ちしています。

観劇前、いつもより10分早く劇場にいらして、ギネスを傾けながらお待ち合わせ、なんていかがですか? これから観るお芝居に期待を募らせながらゆっくり一息つくのは、なかなか味わえない、とっても贅沢な時間ですよ。

ビュッフェには、ギネス以外にももちろん、コーヒーやジュース、ビール、ワインといったドリンクや、アイスクリームやマフィンなどが揃っています。ちょっと小腹を作っておくにもちょうどいい時間ですよ。せっかくのカフェスタイルですから、お飲み物や食べ物を注文したら、お天気のときにはぜひ、外のベンチでゆっくりおすごしくださいね。

ちなみに…舞台上では、開演前から俳優さんたちがせっせと働いていますので、こちらもお見逃しなく。「シュート・ザ・クロウ」は、駆け込みなんてもったいないのです。

2009年4月23日 (木)

オーウェン・マカファーティーさんからのメッセージ

「シュート・ザ・クロウ」を書いたオーウェン・マカファーティーさんですが、公演初日に立ち会うため来日し、トークやサイン会にも参加した後、北アイルランドへ帰国されました。

ベルファストのオーウェンさんから、メッセージが届きましたので、ご紹介します。

◆◆

東京では素晴らしいときを過ごし、とても温かいもてなしをありがとうございます。心から感謝しています。この旅ができて、とてもうれしく思っています。

何年かかけて「シュート・ザ・クロウ」の4つか5つのプロダクションを観ましたが、日本での公演は私が観た中で断トツに一番でした。仕事自体の細かい部分にきちんと目を配りつつ、それと同時に人生におけるより大きな絵(要素)も上手く捉えていました。いつかまた、一緒に仕事ができる機会があればと願っています。

Dsc_0077 オーウェン・マカファーティーさん

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